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受験国語の目安箱

受験国語の目安箱

お気に入りの詩

『祝婚歌』  吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと
気付いているほうがいい
完璧をめざなないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで 疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと 気付いているほうがいい

立派でありたいとか 正しくありたいとかいう
無理な緊張には 色目を使わず
ゆったりゆたかに 光を浴びているほうがいい

健康で風にふかれながら 生きているなつかしさに
ふと胸が熱くなる そんな日があってもいい

そして なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても 二人にはわかるのであってほしい



~このブログのこのページを見つけてしまった方へ。~ 
 
 この詩は6月1日に教育関係ブログの仲間である雪蛍さんの
結婚記念日に送らせていただいたものです。私がこの詩と出会
った経緯についてお話しておきます。教育出版の中二の教科書
には吉野弘さんの『虹の足』という作品が扱われています。
 他にも有名な『夕焼け』なんて詩もあるのですが、たまたま
大学の同窓会誌に外国大使が知人の結婚披露宴パーティーの席
上、この詩を読み上げたという記事を目にしました。その記事
には詩そのものは掲載されていなかったのですが、ネットで調
べて読んでみると、なんともいえず心にじんと来るものがあり
ました。各界の大きな結婚式などでも引用される有名な詩であ
ることも知りました。また、あるホームページでは吉野さんの
言葉を引いて、この詩を多くの人が引用することについては作
者ご自身が寛容である旨の発言をされていると知りました。そ
こで、ブログのホームページにに載せさせていただくことにし
たのです。もちろん、他の吉野さんの詩は他の作品と同様著作
権上の配慮をする必要がある旨明記されておりましたので念の
ため。
 人に詩集を送るのはいいもんですよ。高校時代、大好きだっ
た子から中原中也の詩集をもらい、初めて中也の存在を知りま
した。また、大学卒業時に、友人から黒田三郎の詩集をもらい
ました。それらは今でも私の大切な宝物なんです。  
                     管理人 ゼノ

〔追記〕初めて縦書きタグの存在を知り使用してみました。
ネスケでは表示されないそうです。
弐〇〇六年三月拾弐日



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